2012年5月11日金曜日

Schilkeの量と質


Schilkeの量と質

Schilkeの量と質

 

Schilke Music Products, Inc., は高品質のトランペットとコルネット、ブラスのマウスピース を限定生産する小規模の家族経営のメーカーで、イリノイ州シカゴにあります。その トランペットは「カスタムメイド」と宣伝されていますが、これは基本的に真実です。 ホーンは小売店から注文を受けるまで生産されることはありません。工場には在庫はなく 出荷待ちの数本のホーンがショールームにあるだけです。したがって、購入する際には ベルの材質、形状とモデルを選択し、さらに特別注文を加えることができます。特注の 例はこちらをご覧ください。

同社はトランペットとコルネット65モデルを生産していると宣伝しています(筆者は 実際に数えて確認したことはありませんが)。70年代にヤマハと共同していた時期に 生産を増やしたかもしれませんが、現在は週に20から25本、年間1000から1250本のホーン を生産すると聞いています。この数をBachの近年の年間生産数16,000以上(同社発行の シリアル番号リストによる)と比較してみてください。Schilkeの限定生産と幅広い 製品ラインアップの結果として――もしすべてのモデルが同数作られるとしたら各モデル は年間20本以下しか作られないことになります――各モデルの生産数は需要によって毎年 大きく変動します。翌年の需要を予測することは不可能ですが、小売店は人気のモデルを 1本か2本を在庫として確保しようとすることがあります。しかしホーンが小売店の注文の 前に作られることはありません。このため大抵の店では試奏用の楽器の数が不足する事態 が生じます。実際、Schilkeは1999年の国際トランペットギルドコンファレンスに1ダース ほどの楽器を持ち込みましたが、そのうち2本を除いては売約済みでした。したがって Schilkeを手に入れるには困難を伴うことがよくあります。近所の楽器店にふらっと立ち 寄ってSchilkeを購入するというわけにはいかないのです。ひとつ言えることは、努力は 必ず報われるということです。

Schilkeの市場はそのBフラットとCトランペットの人気で世界に広がっており、元の 従業員によれば国内よりもアメリカ国外での評価が高いとのことです。Schilkeの小型 トランペットは世界標準で、同社の評判はこのマーケットをアメリカ国内で独占したこと によって築かれました。


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Schilkeの楽器はBachやヤマハなどの大量生産のものに比べると幾分高価と言えるで しょう。しかしその品質と耐用年数の長さを考えると、価格償却の差はとても少ないで しょう。Vermont Trumpet Exchangeの経営者で Richard Dundasという人物がいます。彼は今までに数多くのSchilkeを売買してきた 人ですが、「Schilkeトランペットの年代は無関係、重要なのはそのコンディションだけ である」と言っています。30年前製造の優れたコンディションの楽器は、5年前製造で 同じ程度のコンディションの楽器と基本的には同等の価値があるということです。古い Schilkeはごく普通に新品よりも高価で売られています。Schilkeトランペットやコルネッ トは数年使用されるとたいていの場合は価値が下がるのではなく、上がっていきます。

独特のデザイン: Schilkeは楽器のスペックにボアサイズを載せていません。 これは、イントネーションを向上させるために管全体を通じてボアが一定ではないから です。Twentieth Century Brass Instruments in the United StatesのDundas氏 は次のように語っています。

Schilkeは波形の歪を解析し各音のパターンと重ね合わせる技術を持ち、その技術を 用いて音の歪が最も少なくなるような管の各ポイントのボアサイズを知ることができます。 一つの楽器に作りこめるボアのバリエーションは限られていますが、Schilkeはその組み 合わせを他のどのメーカーよりも多く使用しており、そのバルブ金管楽器は最も調音されて いる楽器と言って間違いないでしょう。

Schilke氏はノーダル理論の中 でこのことについて説明しています。

例えばチューニングスライドのボアサイズは大抵他のスライドよりも大きくなって います。Schilkeは配管工がパイプを曲げるときに使う方法を使います。パイプの湾曲部 の内径は他の部分よりも大きくなっています。もし同じ内径であったら湾曲部の端に力が かかり過ぎてパイプが裂けてしまうかもしれません。Schilkeはslide bowが広ければ エアーがもっとスムーズにスライドを通り抜けると考えたのです。

同様に、Schilkeのバルブポートのボア(すなわちパッセージウェイからピストンに かけて)は常にホーン内径よりも少なくとも一回り大きくなっています。例えば、 Mサイズボアのホーンのバルブボアはワンサイズ大きいもの、すなわちLサイズボアの ホーンにマッチするものとなるでしょう。P5-4の場合には、バルブボアは2サイズ大きく なります。

このボアの拡張と他のデザインの特徴とによって、Schilkeトランペットがほぼ同じ ボアサイズの他のトランペットに比べてオープンでフリーに演奏される結果となり、ボアサイズ比較表を無意味なものに しています。

SchilkeのB/Xシリーズとスモールトランペットは最低限とブレースと主に軽量な素材 で作られています。赤色ブラス(銅95%)のSchilkeバルブケーシングは業界で最重量です。 リードパイプもやはり赤色ブラスと腐食を防ぐ合金でできています。ホーンの残りの部分 は黄色ブラス(銅60%)でできています。


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ホーンには伝統的なウォーターキーが付いています。アマドウォーターキーへの変更 はカスタムオプションです。BフラットとCの楽器の3番バルブスライドには特注の場合を 除いてウォーターキーは付いていません。コルネットとSサイズのトランペットの 3番・4番バルブにはスライドの下にレバーのついたウォーターキー(a lá the Olds Ambassador)が付いています。John FaddisとDizzy Gillespieの楽器にはウォーター キーは一切ありません(これもまたカスタムオプションの一つです)。

楽器の細部に至るまでSchilkeのエンジニアリングのテーマです。Schilke氏によれば、 バルブのアラインメントが完璧になるまで長年使われていた緑のバルブフェルトは、最初 の使用で圧縮されるように設計されていたとのことです。Schilkeの特徴である六角形の バルブキャップとボタンは通常の円形のデザインよりも優れています。指でキャップや ボタンを締めたり緩めたりするときに、六角形の方が接触する面積が大きく、力を効果的 に使うことが出来ます。実際、注意深く行えばモンキーレンチやボックスレンチを使って もブラスの表面にダメージを与えることはありません。

他のデザインの特徴は、他社の楽器にも見かけるようになってきました。例えば、 リバースリードパイプ、丸いチューニングスライド、ブレースの最小限の使用、軽量の 素材、チューニングベルのデザインなど、これらは全てSchilkeによって始められ完成に 至ったのです。

Schilkeのベルの独特のクオリティについての情報はベル、スライド、仕上げのオプション を参照してください。

独特の製法:元Schilke従業員が、以前にBachトランペットの不均質問題に ついての議論でこのように私に書いてきました:

「楽器の仕上がりの差は大抵の場合その組み立て、例えばハンダ付けやアライン メントに起因しています。いい仕事をするためには時間と我慢が必要です。近年の Bachは、良い悪いは別にして、一つの楽器の製造にかかる時間が一定となるように 考えています。私は、Schilke氏がよく『急がず慎重に』と私たちに言っていたのを 思い出します。こんな言葉は大量生産の工場では聞くことはないでしょう。当時 Schilke氏は「平均的なBachの楽器は約8時間かけて作られるが、Schilkeは80時間以上 かかる」と言っていました。今はどちらの製造事情も当時とは異なるかもしれませんが 私が働いていた当時はそういった環境でした」

このアプローチを、大量生産工場で働いていた従業員の生活(「1970年代の工場」) と比較してみてください。

別の元Schilke従業員はこのように書いています:

私がSchilkeで働き始めた当時は、Bill BiehlがスライドをSchilkeのカスタム楽器 にとてもタイトにフィットさせていたので、工員は一日に4時間程度までしかラップ 仕上げの作業をすることができず、一日が終わるとその手には痛みを感じるほどでした。 一方ヤマハの楽器を組み立てるには1時間程度しかかかりません・・・(しかし) Schilkeはそれを作るために時間と痛みを伴わなければSchilkeでないように思います。


床のためにそれを自分で行うフィッティングのためのコスト

また、Schilke氏は、我々のバルブのフィッティングに許される誤差はわずか.0005 インチだとよく自慢していましたが、実際は違っていました。仕上げ工程の職人たちは バルブがそんなにタイトにフィットしていると、いくらケーシングのチューブが厚いとは いっても、ホーンを持つため左手の握力によってバルブを窮屈にしてしまうに十分な力が 働いてしまうと考えました。もちろんこれは非生産的なことなので、職人たちは許容範囲 を緩めて.001インチ(それでもまだかなりタイトです)として、奏者が手に持った時も バルブが自由に動けるようにしました。60年代後半のカタログを見ると、誤差.0005を 繰返し謳っています。いずれにしてもSchilkeバルブは業界標準の地位を保っています。

Schilkeの楽器はIndiana州のElkhartにあるAnderson Platingによってメッキが施さ れています。この会社は多くのBachを含む多くの楽器メーカーからメッキ仕上げを請け 負う大きな会社です。AndersonはSchilke設立当初からの付き合いで、その当時はまだ 小さな会社でした。

1999年8月にTPIN (Trumpet Players' International Network)において一連の議論がありました。 それはFlip Oake Wild Thingのエキストララージボアトランペット(Flipのデザインで Kanstulによる製造)の所有者たちによるものでした。彼らはFlipがホーンのボア内部の 結合部から余分なハンダを取り除くことを学んだことを知り、それによる改善の効果を 探ろうとしていたのです。Flipは4月に必要性を感じて余分なハンダを取り除くための ツールを購入しましたが、それ以前に楽器を購入した人たちのために、販売した楽器の 一つ一つから余分なハンダを取り除く作業を無償で行っていたのです。 そのディスカッションを通じてわかったのは、他の多くの修理工も日々こうした作業を 他のメーカーのホーンに対して行っていたことです。これには、以前からその品質管理が 批判されているBachや、ハイエンドメーカーであるKanstulの楽器も含まれていました。 私はSchilke楽器については余分なハンダを取り除く必要がないだろうかと疑問に思い、 The Brass Bow Music Company経営者の Wayne Tanabe氏に質問してみました。 The Brass Bow Music Companyはアメリカにおける一線級の楽器修理の技術陣を持ち、 シカゴ交響楽団の金管奏者たちを常連客として抱えています。彼からの返事はこうで した:

初めに、私がSchilkeの製造手法に多大なる敬意を払っていることを知っていただき たいと思います。Schilkeは多くの技術と注意深い手順によって、その楽器の品質を 業界最高に保っています。したがってSchilkeの楽器にそのような問題が見つかることは 稀です。もし私がトランペット製造ビジネスを行うとすれば、Schilkeをお手本とする でしょう。

--Wayne Tanabe

この言葉が全てを言い尽くしています。

最後に、Schilkeの製造に対する細心のケアは、彼らの製品を守るための意欲に よく表れています。ビンテージSchilkeトランペットのオーナーであるDon Schneiderはこのような話をしてくれ ました:


数年前、私はSchilkeのBフラットトランペット#207をBrass Bowから購入しました。 とても演奏しやすい楽器で、音もフィーリングもB1のようでした。リードパイプは 一枚板から作られていて、継ぎ目は内側に見えました。工場によればその楽器は1956年 製造とのことでした。購入数週間後、その楽器をテーブルから落としてしまいました。 見た目にはダメージはありませんでしたが、第3バルブスライドの動きががやや悪く なっていました。私は修理工なので、調整を試みていたところ、バルブケーシングの 部分にあるスライドチューブ内部のハンダ付けが破損してしまいました。そこで私は Schilke工場に電話をすると、それはハンダ不良のようだから近隣のSchilkeディーラー に持ち込むようにと指示されました。なんと補償の範疇で修理すると言うのです! 私自身がSchilkeディーラーだと告げると、自分で修理してその費用を請求するように とのことでした。38年前に製造された製品にそのような補償を行うメーカーが他にあるでしょうか?

美的な満足感: Schilke楽器を初めてその手にすることは忘れがたい経験です。 非常に高品質な製品で組み立てや仕上げには細部にわたるまでとてもよくケアされている ことは明らかです。バルブキャップのねじ山は正確に刻まれ、軽量でありながら強固 であり、スライドはスムーズに可動し、バルブアクションはしなやかでとても速いもの です。六角形のバルブボタンとキャップ、ブレイスを除けば、付加的なブレイスや装飾の ない最小限で無駄を省いたアプローチが取られています。特別注文がない限り、 第3抜差管には、ウォーターキーはなく、スライドストップのための殆ど見えないくらい のねじがついています。ホーンはクリーンでベルの彫刻はありません。単に第2バルブ ケーシングに"Schilke Chicago USA"とシリアル番号が彫刻されているだけです。 モデル番号はマウスピースレシーバーに刻印されています。

初期には、ホーンには単に"Schilke"と第2バルブに刻印されているだけでした。 こちらでビンテージホーンにおける バルブケーシングの例をご覧ください。その後は何年にも渡って"Schilke Chicago USA" という文字が第2バルブに小さな四角に囲まれて刻印されていました(このページの 最初に写真を掲載しています)。数年前、四角形は無くなりました(右の写真)。 何故でしょう?四角形の部分の金型が磨耗したため取り去られた後も同じ金型スタンプ が使い続けられているからです。これはちょうどショップがWabashからMelrose Parkに 移転したころに起こったようで、新しい場所で作られたホーンの非公式なしるしとなって いるようです。

最後に: 伝統的にSchilkeのバルブキャップのフェルトは緑色です。1993年に サプライヤーが緑色のフェルトの供給を停止した後は一時的に黒のフェルトが使用され ましたが、その後1999年春に再び緑色のフェルトが供給されるようになり現在に至って います。


 
The Schilke Loyalist
 

© 1999 - 2002 by James F. Donaldson
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